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1: 【種別】 魔術・疑似魂魄 【元ネタ】 中国の伝承より、「四凶」と称される怪物の1つ。 Wikipedia - 饕餮 【初出】 とある科学の一方通行 第2話(名前のみ) 第20話で実際に登場 【解説】 エステル=ローゼンタールが死霊術に使用する擬似魂魄で、 「ナンバーズの悪霊」の一つ。 菱形幹比古の開発した『棺桶』に搭載された、能力者の死体に憑依している。 【種別】 兵器 【初出】 とある科学の一方通行 第2話(名前のみ) 第20話で実際に登場 【解説】 『警備員』内の組織、『DA』が運用する兵器。 菱形によって作成された『棺桶』と称される兵器群の完成型。 同様の完成型に『渾沌』、『窮奇』が存在する。 全体的に角ばったフォルムで、右肩に高初速砲、左肩にその弾丸8発を搭載。 弾丸を装填しやすいよう、両腕は機体背面に位置している。 また機体の前面にガトリング砲2門を内蔵。 他の『棺桶』と同様、搭載された能力者は死亡しており、 「ナンバーズの悪霊」の疑似魂魄『饕餮』が憑依している。 コアとしてレベル3のテレポーターが使用されており、 物体の位置を入れ替える「リプレイス」と呼ばれるタイプの『空間移動』能力を使用可能。 本来は「本体とお気に入りのぬいぐるみの位置を入れ替える」だけの物体転移能力だったが、 『棺桶』に組み込まれた事で強化されており、 催眠で「ぬいぐるみと自身が思い込んだ物体」と本体の入れ替え(転送)が出来る。 偶発的に捕縛した妹達(ミサカ10046号)を移送するため、 『渾沌』、『窮奇』と共に出撃し、一方通行と対峙した。 移送は『渾沌』に任せ『窮奇』と共に一方通行と交戦したが歯が立たず敗北、機能を停止した。 しかし時間稼ぎの役割は果たしており、 妹達から採集した「10031の死の記憶」を用いた公式を入力され再起動。 『窮奇』の強化された『念動力』と、自身の『空間移動』との連携で再度一方通行の足止めを行う。 『窮奇』と視覚を共有する事で、 自身や『窮奇』本体と筒形の爆発物を自在に入れ替える『遠隔射出(アスポーツ)』を操れるようになったが、 やはり相手にはならず敗北し、『窮奇』共々完全に破壊された。 【関連】 →棺桶 →窮奇 →渾沌
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【種別】 兵器 【元ネタ】 Wikipedia - ギンヤンマ 【初出】 新約三巻 【解説】 アメリカが保有するUAV(無人航空機)。 アメリカ軍のネットワークに所属する為、F.C.Eに侵入されてしまっている。 作中では、カウアイ島・ナパリコースト周辺を『#210』と『#300』が監視している事が確認できる。
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【種別】 魔術 【元ネタ】 北欧神話のヴァルキリー(ワルキューレ)から ヴァルキリーは9人いると言われる。 Wikipedia - ワルキューレ 【初出】 SS2巻 【解説】 ヴァルキリーが使用する、九人の乙女で男性を操り、手駒とする術式。 発動させるとヴァルキリーの影が九つに分かれ、円形の魔方陣のように変化。 彼女を中心にくるりと回りいったん消滅した後、男性の所に現れて体の各所を掴み、強引に動かす。 なお、 『他の何者とも比べられない最高の女性美だ!あなた様はまことに美しすぎる!! もう仲間(女)も人生も全部投げ売ってあなた様にお仕えしたい!! つーかこの美しさがあれば割と神様とかどうでもいんじゃね?』 と思えば思うほど術中にはまりやすい。 簡潔に言うとヴァルキリーを見て欲情した男はそのまま操られる事になる。 ジーンズ店主はあっさり引っかかってしまい、神裂にぶっ飛ばされた。
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【種別】 霊装 【元ネタ】 トールが腹に着けていたという帯。 Wikipedia - メギンギョルズ 【初出】 新約六巻 【解説】 トールが所有している霊装。 黄色と紫色のベルト二本を、二頭のヤギの頭を模したシルバーブローチでピン留めした見た目。 効果はトールに「聖人」並の怪力を与えるというもの。 使用した際は幹線道路を素手で持ち上げ15mほど投げ飛ばした。 ただし「力」は出せるがそれを「速度」に変換できないため、高速移動などには使えない。
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【種別】 霊装 【元ネタ】 Wikipedia-フルングニル 【初出】 二十一巻 【解説】 北欧神話に登場する巨人の名を持つ霊装で、聖ジョージ大聖堂の霊装保管庫に保管されていた。 聖ジョージ大聖堂を舞台に行われた自動書記状態のインデックスとステイルとの戦闘で、 インデックスの光線攻撃を凌ぐためステイルが咄嗟に使用。 4発まで防いだが、残り数十発の集中砲火で破壊された。
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【種別】 霊装 【元ネタ】 Wikipedia-アラクネー 【初出】 新約22巻リバース 【解説】 近衛侍女が装備する、8本のアーム型の霊装。蜘蛛の脚のような節くれだった関節を持ち、塗料とニスを何重にも塗ったかのような光沢ある木の輝きを放っている。 8本の脚を「機織り機」と表現されるほど高速に動かし、一本の糸、一枚の布から瞬く間に服を編み上げる。 本来は前線基地で破断した鎧や僧服を修繕して、騎士や僧兵を戦場へ叩き返すためのものである。 同タイプの霊装として、ワルキュリア・スワン三式やハベトロット二式がある。
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『ナンタヴェア』ごとユミルの片腕による投擲によってイロの攻勢を回避したカッレラは、一本残ったユミルの腕を巧みに使い着地の衝撃を和らげ、無事無人島へ着陸を果たした。 その無人島は島にしては奇妙な形状をしていた。例えるならドーナツのような。中央部は湖となっており、その周囲をぐるっと円状に大地が囲む島。 海から顔を出している地面からは大小様々な木々が生えている。普通なら見る者に自然の味わい深い情緒を抱かせる風景だろうが、今のカッレラには大自然が生み出した景色に気を払う余裕は一片たりとも存在しない。 「ハァ…ハァ…」 『ナンタヴェア』を中央部の湖に停めたカッレラは荒い息を整える為に何度も深呼吸を繰り返す。 度重なる戦闘で消費した魔力、つまり魔力の元となる生命力の残存量を感覚で以て測るカッレラは、自身がまだ戦闘の続行は可能と判断する。 (『カレワラ』の魔術は強大だけど、その分魔力の消費量は大きい。『ナンタヴェア』のコアに充填されている魔力にはまだ若干の余裕はあるけど…うかうかしてられない) はっきり言って、イロとの戦闘をこのまま継続してカッレラに良い事など何一つ無い。ここは太平洋に浮かぶ孤島。移動の為には『ナンタヴェア』がどうしても必要となる。 『ナンタヴェア』は単独で動かす事もできるが、代償として魔力消費量増加が付き纏う。コアには若干の余裕があるとは言え、いずれはカッレラ自身の魔力で動かさなくてはならなくなる。 『多からなる一』が差し向ける追っ手はイロだけに収まらない筈である。時間が経てば経つ程カッレラにとっては不利となるのだ。 不幸中の幸いとでも言うべきか、今のところ自分達の激しい戦闘が他の魔術組織や魔術とは関係無い組織に勘付かれた気配は無いのが救いだ。 (でも、ちょっと安心したかな。魔道書の、しかも原典だから精神汚染がヤバいかなと身構えていたんだけど、言う程でも無かったな) その一方で、『多からなる一』から脱走して今までの短時間の中でカッレラは確かな安心材料を確保していた。それは魔道書原典『カレワラ』を読む際の精神汚染。 魔道書を読む際には必ず魔道書の『毒』が懸念事項として付き纏う。優れた魔術師であっても『毒』の汚染から完全防御する事は困難で、中には読んだだけで発狂した魔術師も数知れず存在する。 しかも、原典ともなればその汚染レベルは凄まじい。しかし、魔道書原典『カレワラ』を読んだカッレラに行動不能レベルの症状は起きていない。 相性が良かったのか、カッレラ自身の才覚とでも言うべきか。確かに『毒』の汚染はあったが、それでもカッレラはこうして『カレワラ』の魔術を自由自在とまでは行かずとも実戦レベルまで発揮させる事ができている。 「ようやくお出ましね。随分のんびりした歩調だ事」 不安と安心がないまぜになった心境を抱くカッレラは、マグマや炎柱が所々から噴出している海からゆったりとした歩調で歩いて来る老人に目を向ける。 水魔術を使って海上を歩いている老人イロ=コイの傍に乗船していた『ナンタヴェア』は存在しない。先程の戦闘で使い物にならなくなったのか、あるいは何か目的があって戦闘領域から離脱させているのかは本人のみぞ知る。 背後に光源たる炎を噴出させているせいでカッレラの瞳からはイロの顔や姿は影となっており、イロの表情や傷の程度を中々判別できない。 とにもかくにも、この追っ手を何とかしない限り先に進めない。そう考え、傍に控える『カレワラ』に意思を伝えようとしたカッレラは視線をイロから外す事ができなくなった。 「な、何よ…その姿は…!!」 目が釘付けになる。イロの身体に発生した異常をつぶさに観察したくなる。カッレラが目にしたもの。それなりに長い付き合いとなっているカッレラ自身、今までたったの一度も見た覚えの無いイロ=コイの変貌した姿。 両の瞳はいずれも黒目が縦長に伸び、衣服が肘の先から消失している右腕は黒い鱗のような輝きを放つ。それは、まるで蛇が目の前の老人に乗り移ったかのような光景だった。 ~とある魔術の日常風景 異説「イ・プルーリバス・ウナム」Ⅱ~ 「『何』と言われてもな。目の前の光景が現実。そうとしか言えんな」 「気色悪いわね。それがあんたの隠し玉?」 「さぁの。どう判断してくれてもよい。穿った見方をするのも、侮った見方をするのもおぬしの自由よ」 異様な蛇の視線に身が竦む感覚を覚えるカッレラ。隠していた魔術であろうイロが扱う未知の魔術に心当たりは無い。少なくとも蛇神ンデンゲイとは別物の伝承なり伝説なりを利用した魔術だろう。 マイナーな魔術がメジャーな魔術に勝る点として、全体的にその情報量の少なさが挙げられるだろう。十字教や北欧神話などのメジャーな魔術は規模が大きい分それだけ知られている。 勿論規模が大きいという事は細分化されているという事でもある。『○○神話に影響を受けた○○教魔術』のように異能のセッティングを自由に組み立てられる自由度の広大さもあるので、情報戦において一概にマイナー勢力が有利というわけでは無い。 とはいえ、強力無比を目指す場合メジャーな魔術に用いられる伝承は必然数が絞られてくる。専門分野と被っていれば、戦う相手の魔術への割り込みすら実現させる事も可能だろう。 しかし、それがマイナーな魔術となると対戦相手にとっては未知の魔術となる可能性が高い。当然対抗策としては相性などを無視した力押しになる傾向は確かに存在する。 『多からなる一』に所属する魔術師の多くは、このマイナー性―言い換えれば“希少性”―を重視する。もっとも、マイナー故にメジャーな魔術の力押しに負けてしまう事も大いに有り得るわけだが。 「ふ~ん。まぁ、あんたがどんな魔術を使おうが、私がやるべき事は一つ。あんたをブチのめして、十字教に宣戦布告する!」 「…どうしても十字教への襲撃を思い留まる事はできんか?」 「できないわね。そもそもあんた、今の『多からなる一』の現状を見て何とも思わないの?自分達が掲げる宗教や伝承を十字教のような『多数派』に軽んじられたくないと吠える癖に、一向に連中の思い描く理想像に対して大したアクションを取らない腑抜けた構造に!」 「腑抜けたとは心外じゃの。土地固有の伝統や風習を守る手段は、何も戦いによる戦果だけではあるまい。粘り強く、また辛抱強く働き掛けた結果根付く風習が存続した事例は幾らでもある。 特にわしを含めた『多からなる一』で活動する穏健的な結社員を見れば理解できるじゃろ?彼等は殊更戦闘に重きを置いてなどおらん」 「それが腑抜けてるって言ってんのよ馬鹿老害!!ホント老害よねあんた!年老いたあんたみたいな人間が組織にいたら、いずれ組織は立ち行かなくなる! あんたみたいな人間が『多からなる一』にいるから、知らず知らずの内に皆に臆病風が吹いてるのよ!!弱者というカテゴリーへ無意識の内に自分を置いちゃってるのよ!!」 イロの反論はカッレラの怒りの炎に油を注ぐだけだ。『多数派』の代表格たる十字教に敵対意思を示す事で弱者という立ち位置に甘んじる現状を変え、少数派宗教・民族としての誇りを取り戻す。 その為に敢えて『多からなる一』内部に抗争を引き起こさせ、自ら十字教へ戦いを挑み、その姿勢で以て皆の意識を変える。弱者から抜け出す。強者に牙を向く誇り高き勇者となる。それがカッレラの望みなのだから。 (…まっことこやつは。まるで昔の自分を見ているようじゃ。無知でいる事に恐れなど抱かず、未知な事に畏れず立ち向かっていったかつてのわしのような勇ましさよ。その在り方を今のわしは浅はかと断ずるも、この羨むべき心は抑える事はできんの) 対して、カッレラの非難を正面から受け止めるイロは少女の勇ましき言動にどうしても羨ましさを抱かずにはいられない。 確かに、カッレラの指摘する通り自分は年老いた。勇敢だった若き頃の勢いは歳を経る毎に鳴りを潜め、慎重に事を運ぶようになった。臆病者になった。否。“臆病を重視するようになった”。 何せ、若い頃の自分は一度怒髪天を衝けば周囲の制止を振り切ってとことん“やる”性質の人間だった。当時は無茶ばかりしていた。それが原因で魔術業界に引っ掛かった。 別段当時の自分の行動を否定するわけでは無い。現に、こうして一世紀以上の生を謳歌しているのもひとえに魔術あってこそだからだ。 「何でニヤニヤしてるのよ?その風貌のせいで、余計に気持ち悪いったらない。まさかとは思うけど、老いぼれの癖に私を見て発情でもしてるの?さっきまで色んな巨人を出してたもんね。 土から構成するからどうしても裸のような格好になっちゃうし。はっ、蛇の発情って目にした事無いけどきっとあんた程に気色悪くは無いんでしょうね?」 「失礼な。こう見えてもわしは一度結婚しておる。生涯で唯一人心の底から恋し、愛し尽くした人は我が伴侶のみ。そう決めておる」 「えっ?結婚?……………嘘よね?」 「嘘なものか!現実逃避するでない!」 「…マジ?」 「マジマジ」 「うっそ……!!あんたみたいなやつを旦那に持った奥さんに女として心の底から同情するわ。さぞかし、心の広~い深~い奥さんだったんでしょうね。…あっ、奥さんじゃなくて旦那さんの可能性もあるか。どっちにしろ苦労が偲ばれるわね」 (あぁ。広かったとも。深かったとも。短い年数じゃったが、我が伴侶程素晴らしい人に会った事は昔も今も無い。あやつとの間に子供が生まれておれば、もしかしたらカッレラのような芯の通った子供だったかもしれんのう) 心底呆けたというか驚愕の余りについ日常会話―普段からしてイロに対するカッレラの言動は常に反抗的である―をしてしまったというか。それだけカッレラにとってイロが結婚しているという事実は衝撃的だったのだ。 自分が伴侶の立場だったら絶対にこんな男願い下げだ。巨人の足で蹴っ飛ばしてでもお引取り願うだろう。 儷の片割れである者からすれば失礼極まる発言をかますカッレラに、イロはニヤけ顔を引き締めながらも目を細めながら懐かしい過去を回想する。 あんなに幸せな日々を過ごす事ができたのは愛しき人のおかげ。その一言に尽きる。病弱だった伴侶とは既に死別しており、儷の間に子供もできなかった。 しかし、かの人は何一つ悲観的な言葉を吐かず最期の最後までイロを思っての言葉を語り掛けてくれた。愛する伴侶の為にできた事は正直少ない。 魔術師となってからも以前と変わらず自由奔放で猪突猛進だったかつての自分は伴侶から与えられてばかりだった。 故に、生涯で唯一人自分と愛し愛される関係を作り上げる事ができたかけがえのないかの人の想いに恥じぬ生き方をしようとイロは心に決めている。 「カッレラよ。おぬしは優しいのう」 「そりゃねぇ。同情せざるを得ないっていうか…」 「そっちの話じゃ無いわい。わしに対して優しいと言っておるんじゃよ」 イロの投げ掛ける褒め言葉に手を腰に当ててふんぞり返っているカッレラの返答を訂正する老人は、縦に伸びる黒目をカッと見開く。 僅かに笑みさえ零すその言いようの無い気色悪さにカッレラは、皮膚が黒い鱗と化している右手で自分を指差してくるイロの言葉の意味する所を図りかねるのも含めて表情筋を引き攣らせる。 「はっ?誰があんたに優しくしてんのよ。さっきも言ったでしょ?私はあんたをブチのめすって」 「何故そこで『ブチのめす』となるんじゃ?どうして『殺す』とならんのじゃ?」 「ッ…」 イロが続ける言葉に喉の奥から出そうとした言葉が詰まる。 「…優しいのうカッレラよ。その敬老精神は他の若人にも見習わせたいくらいじゃ」 「勘違いしないで。私は私の目的を邪魔する奴相手に手を抜いたりなんかしない。どうしっても退かないなら殺してでも突き進む。馬鹿老害。あんただって例外じゃ無い」 「その割には攻勢が手緩いのう。例えば、先程ウートガルザ・ロキからシェートロールへ繋げたコンボじゃが何故幻に苦しむわしに対して『水中へ引き摺り込む』などという手緩い攻撃方法を選んだんじゃ? おぬしなら、『カレワラ』を持つおぬしならもっと強大な直接的攻撃手段を持つ巨人の力を使えた筈。そうじゃ、そっちの方がはるかに効率的で凄まじく効果も高かったであろうに」 イロはシェートロールという巨人をコンボの最後に持って来たカッレラの内心に疑問を抱いていた。本当にカッレラがイロを殺すつもりなら、あの場面でシェートロールの力を行使するのは詰めが甘い。 幾ら強大な再生能力を持つとはいえ、時間という猶予を与えればそれだけイロに対抗手段を行使させる隙を与える。 あの場面で最善かつ最も効果的だったのは、『これで終わりにさせる』という気概に相応しい強大な攻撃能力を有する巨人の発現だった。 カッレラだって理解していた筈。なら、どうしてカッレラはその手段を選択しなかったのか。 「心を偽るなカッレラ。おぬしが追っ手であるわしを最初に見た時、どんな態度を取った?どのような表情を浮かべていた?わしはちゃんと覚えておるぞ。 おぬしは呆然としておった。『どうしてアンタが追っ手として来るの?』という驚愕に揺れていた表情をわしは記憶しておる」 「……」 「おぬしは『多数派』による『少数派』へのイジメが大嫌いじゃからの。それは、言い換えれば力ある強き者が力を持たぬ弱き者への弾圧を許せない事と同じじゃ。 おぬしにとっては、わしのような臆病者が追っ手として来るよりおぬしのような勇ましき者が追っ手だった方が“楽”であったであろう? それか、わしが数に含まれていたとして『多数に上る追っ手』であった方が『少数派』として孤軍奮闘できる環境を得る事ができて万々歳じゃったろう? そうすれば、『少数派』の誇りを取り戻す事を大義名分として掲げるおぬしは結社に混乱を引き起こした罪に揺れる心に踏ん切りを着けて目的遂行に邁進する事が叶う」 「……つまり、あんたはこう言いたいわけ?『臆病者の馬鹿老害が仲間も連れず単身で追うのは、私の目的遂行を邪魔する人材として最適だった』と」 「それこそ、こうとしか言えんな。『目の前の光景が現実』。穿った見方をするのも、侮った見方をするのもおぬしの自由じゃが、『カレワラ』を使用した魔術攻勢を仕掛けたおぬしの判断材料は『臆病者のわしが生き残っておる』という動かぬ現実じゃぞ? おぬしが手を抜いたからこそ、わしは外部の者達を救助し避難させる時間稼ぎも果たせた。そうで無ければ、核級の破壊力を持つと謳われる『カレワラ』からあの者達を逃がす事ができたかどうかは正直怪しいの」 答えは至って単純。つまるところ、カッレラは弱いものイジメが大嫌いなのだ。それは『多数派』による『少数派』への弾圧に繋がる要素だ。 そもそも巨大宗教に数えられる『多数派』は自分達以外の宗派を『魔なる者』として排除している。その影響は『少数派』であればある程大きくなる。 カッレラは今までの人生の中で弾圧の影響を色濃く受ける場面・光景を何度も見て来た。見て、感じて、『許せない』と思うようになった。 自身が『多からなる一』に所属するのも、この『許せない』という気持ちが大きい。だから、自分は『多数派』のような人間にだけは絶対ならないと固く心に誓っている。 そんなカッレラは、『カレワラ』を奪取した自分へ『多からなる一』から差し向けられる追っ手として、『多人数に上る魔術師』もしくは『結社きっての精鋭戦闘魔術師』のどちらかだと想定していた。 客観的に考えてカッレラの想定はおよそ妥当と言える。そしてカッレラはそういう展開を待ち望んでいた。 負い目はある。罪の意識を抱いていないわけではない。でも、想定通りの追っ手を打ち破る事で自分の覚悟を改めて結社へ示す事ができる。本気度を見せ付ける事ができる。 追っ手を打ち破った末に自身が十字教に宣戦布告すれば、もしかすれば結社の中からカッレラの意思に同調する動きが発生する可能性だってある。 だって、皆も心の何処かで感じていた筈だから。考えていた筈だから。『多数派』に『少数派』が牙を剥く…そんな理想的な武勇伝を。 「………ハァ。どうしてあんたなのよ。あんたじゃ無ければ、私は僅かの迷いも振り切って戦えたのに。『多からなる一』は、どうしてあんた一人を追っ手として私に差し向けたわけ?もしかして、『ナンタヴェア』を逃走手段に利用された責任とかで無理矢理…」 「わしが望んだ事よ。皆にお願いしての。皆緊急時で焦っておったというのに、わしの頼みをちゃんと聞き入れてくれたわい」 「……そぅ」 それなのに。事もあろうに追っ手として立ち塞がったのがイロ。よりにもよってイロ=コイ。臆病者として有名で、カッレラ自身イロが戦う姿など一度とすら拝んだ事は無く、結社内部で発生するいざこざの仲介役としてよく駆り出される年老いた人間。 他のメンバーと同じようにカッレラにも『ナンダヴェア』の使用方法などを手取り足取り教え、日々の健康管理にも気を使うお節介焼き。 つっけんどんな態度で終始してしまう自分に対して何時も困ったようなはにかんだ顔を浮かべるイロを、カッレラはなんだかんだで信頼していた。 イロの霊装のおかげで『多からなる一』の活動はグッとやりやすくなった事もある。個人主義な魔術師には珍しく全体の和や協調を唱える変わり者を遠巻きで眺めながら呆れつつもクスッと笑いを零してしまう、そういう関係にいつしかなっていた事も確かにある。 だから、今回の騒動でも追っ手として立ち塞がる魔術師の想定枠にイロは最初から存在しなかった。どうして?決まっている。 まるで戦闘を行わない理由を『マジックアイテムや霊装の作製にかけては超一流だが戦闘はからっきし駄目』とまで噂される程の結社きっての臆病者の癖に魔術師として命懸けで『少数派』を守る活動を継続しているイロを、『カレワラ』を持つ自分の手で殺す事など強大な力を持つ『多数派』が力の弱い『少数派』を弾圧した末に殺す様と同じではないか。 『それなのに』。イロは自らの意思でカッレラの前に立ち塞がった。カッレラを止める為に。反抗期の娘を叱りに来た親のようにいつものような飄々とした雰囲気で現れた。 「あんた強かったのね。どうしてそれだけ強くてそんなに臆病なわけ?」 「……とある人に教えて貰ったんじゃ。臆病で居続ける事の大切さを」 「…なにそれ。ハァア…まぁいいわ。あんたは臆病者だけど戦闘も超一流だった。それだけわかれば……十分よ!」 「ッ!」 呆れているのか感心しているのか、もしくは両方なのか様々な感情が混ざった表情を浮かべるカッレラは、目の前の臆病者を強者と遂に認める。 カッレラのような人間からすれば臆病なのに強者という性質は理解できない要素が多いが、『カレワラ』を持つ自身とここまで渡り合えるからには認めざるを得ない。本当なら……“認めたくなんてなかったのに”。 「―――!」 イロは初めて耳にする。カッレラの魔法名を。己の信念をラテン語で表し、これを宣言する事は自分の覚悟を見せ付ける事と同義であるという偉大なる名を。 一部の魔術師にとっては殺し名と同じ魔法名をイロ相手にカッレラが名乗ったという事は、つまりカッレラはイロを『殺す』と決意したのだ。 「イロ=コイ!!私はあんたを殺す!!私の成したい事を為す為に!!私の願いを叶える為に!!あんたは……未だに私を裏切り者じゃ無く仲間だって呼んでくれる優しいあんたは、だからこそどうしようも無く邪魔なのよ!!」 島中の土や海底から巨人の材料となる炭素や窒素を掻き集めるカッレラ。今度は腕だけでは無く身体全体を巨人化させる目的で。 土属性魔術を得意分野とするイロは、カッレラの悲壮な決意に顔を歪ませながらも彼女の材料集めを妨害するべくンデンゲイ魔術によって割り込みを仕掛けようとする。 「ッ!?」 「あんたは優し過ぎる。魔術師にとって自分の命綱である魔術を他人へ教える事がどれだけ自殺行為なのかをあんたは理解していなかった。 『ナンタヴェア』や『ブレ・カロウ』の使用方法から、あんたのンデンゲイ魔術に用いられる魔術式はおおよそ見当が付く。 今までの戦闘も逆算の為の補強材料となった。今の私はあんたの魔術妨害を弾く事だってわけ無い!!」 カッレラの宣言は、イロの操るンデンゲイ魔術の基幹となる魔術式を逆算した事を示している。先程イロがマグマや炎柱を噴出させる時に地脈を利用した際土属性魔術で以て地脈の位置を探っていた事が決め手となった。 今までの経験によりンデンゲイ魔術に関する情報を集めた今のカッレラは、イロの魔術を妨害する事など容易い。 「AAAAAAAAAAAAA!!!」 イロの妨害を振り切ったカッレラは、とうとうフィンランドの民族叙事詩に登場した、天を覆う樫の木を切り倒した巨人そのものとなった。 十数メートルもの巨体から吐き出される咆哮は、夜の空気を切り裂く程の衝撃波となって方々へ振り撒かれる。 (だが、これ程の巨体となれば『カレワラ』による即興複合術式を組み合わせる際に多大な魔力消費は避けられぬ!!今までの立て続けの戦闘によってカッレラも相当魔力を消費してお……ッ!?) 自身の魔術を逆算されてしまったイロは、それでもカッレラの魔力消費による疲労が相当なものである現状に確かな勝機を見出していた。 『ハワイキ』を脱出してからの度重なる戦闘に加えて、完全な巨人形態での『カレワラ』使用は下手をすれば魔術師の生命力が枯渇し自爆を引き起こしかねない行為である。 『カレワラ』の魔術はいずれも強大ながらも術者に精神汚染と魔力消費を強いる諸刃の剣である事を看破していたイロは、だがそこで信じられない現象を蛇の瞳に映した。 (『カレワラ』自身の魔力を基に地脈のエネルギーを引き出し、『樫切りの巨人』に即興複合術式をじゃと!?まさか、この短期間の内にわしの想像以上に『カレワラ』がカッレラに馴染んでしまっておるのか!!) それは、魔道書原典『カレワラ』が持つ著者本人の魔力を下地に地脈に流れる炎属性のエネルギーを引き出している光景だった。 しかも、今まではカッレラの詠唱が必要とされていたのに今回は詠唱不要と来た。おそらくは、『カレワラ』内部の複雑な魔法陣によって詠唱不要となっているに違いない。 原典の中には干渉を感知すると自動的にその実行犯に対し迎撃術式を発動させるタイプもあるが、『カレワラ』もそのタイプ。 そして、この迎撃術式は著者や地脈の魔力を利用し行われる性質である。つまり、『カレワラ』は“『樫切りの巨人』に対して即興複合術式を発動させる為に『カレワラ』自身の魔力を基に地脈のエネルギーを引き出し、不足気味なカッレラの魔力を補った”という事。 意識的にしろ無意識的にしろ、カッレラの意思に応える『カレワラ』はイロが想像する以上にカッレラを認めているのだ。 「GAAAAAAAAAAA!!!」 (これは…この灼熱の巨人は……北欧神話の巨人スルトか!!) 大地を焼き、海を沸騰させ、空気を焦がす灼熱の巨人がイロの前に降臨する。名はスルト。北欧神話にて世界を焼き尽くした巨人と謳われる炎の巨人。 核級の破壊力を振り撒くとされる『カレワラ』が絡むのなら、炎核の巨人とも呼称できるだろうか。 闇夜を煌々と照らす炎の光、体中から排出される灼熱の火、吸い込めばたちまち肺を焼くに違いない炎熱の息吹、近付く事さえままならぬ炎核の巨人スルト。 かの神話で語られる巨人スルト最大の特徴であり最大の武器と言えば、間違い無く“あの”伝説の剣だろう。 (カッレラは逃走時巨人化魔術に利用できる霊装は持ち出せなかった。ならば、スルトになったとしても利用できる霊装も持っていない。一説ではかの豊穣神フレイの剣を持っているとも聞いた事はあるが、どちらにしろ霊装が無ければ!!) スルトは太陽のように光り輝く剣を持っていると謳われ、その剣で以て世界中を焼き尽くしたとされている。 また、北欧神話における終末の日ラグナロクにて豊穣神フレイと戦い奪い取った、かの『レーヴァテイン』と同一視される事もある常勝の剣をも所持しているという説も存在する。 だが、どちらにしろ今のカッレラはそれらの伝承を利用せきる霊装は持っていない。スルト魔術を十全には発揮する事ができない状態…の筈だった。 「AAAAAAAAAAAAAA!!!」 「ッッ!!!」 イロは知らなかった。カッレラもまた知らなかった。『カレワラ』が通常の伝承とは別の知識として書の中に秘めていた。 スルトが持つ世界を焼き尽くすとされる炎の剣は、実は剣そのものに巨大な炎が宿っているのでは無く『スルト自身』の力によるものであると。 すなわち、世界を焼き尽くした炎の根源は剣では無くスルト。故に、剣として利用できる霊装が無くともその強力無比な灼熱の力は行使できるという解釈だ。 地脈から取り出した火属性の強大エネルギーを活用し炎核の巨人スルトを再現するカッレラは、自身の意識が振り切れてしまいかねない爆発的な力をギリギリの所で制御する。 周囲の木々を瞬く間に塵に変える程の莫大な熱量の塊を体正面に集中させたカッレラは真上へ跳び、眼下に見下ろす形となったイロ目掛けて解き放つ。 「GAAAAAAAAAAAAA!!!!!」 北欧神話にて世界を焼き尽くした太陽の如き閃光と爆炎の放射が径を絞った一本の流星となって発射され、大地を、海を、そしてイロを呑み込んだ。 数瞬遅れて発生した巨大な爆発は海を蒸発させ、海底の地形を変え、甚大な爆風発生によって広範囲に真空空間を生み出した。 直後に四方八方から莫大な強風が爆発の中心地に殺到する程の…まさに核兵器と同等の破壊力を世に顕現させるに至った。 …to be continued
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【種別】 生物兵器・魔術 【初出】 新約19巻 【元ネタ】 Wikipedia-ネッシー 【解説】 A・O・フランキスカが使役する細胞質の怪物の群れ。 各個体は質量32kgまでという制約はあるものの、どんな色や形にも変化させることができる性質と、並みの恐竜を超える力と学習能力を持つ。 作中では主に少女に擬態させることで見た目で相手の戦意を削ぎつつ、移動能力と上記の能力を持つ生体凶器として扱っているが、 適宜フランキスカの四肢を補強したり武器として使用する場合もある。 ウサギグレイの「ネッシーの正体に迫る」という話から発想をスタートさせ、 かつてアレイスター=クロウリーがネス湖で実験を失敗した際、精霊のなりそこないが発生した件をヒントに、意図的に実験を失敗させることで生み出された。 ネッシーの「いくら探しても見つからない」という要素を「何にでも姿を変える」と読み替えた結果として擬態能力を持つ。 大量の少女形にしたミメティックプレデターを指揮、連携させることもできるが、 これは上里勢力の人員と戦力の管理法を元にしている。
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【種別】 ブリーシンガメン 【元ネタ】 フレースヴェルグ - Wikipedia 【初出】 新約八巻 【解説】 北欧神話の死者を貪る大鷲。あまりの巨体に、翼をはためかせるだけで世界中の風を生み出せるとされる怪物。 東京上空で学園都市製の超音速戦闘機と交戦。 ほぼ互角の戦闘を繰り広げていたが、ミサイルの直撃で落下・消滅した。
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【種別】 魔術・疑似魂魄 【元ネタ】 中国の伝承より、「四凶」と称される怪物の1つ。 Wikipedia - 檮コツ 【初出】 とある科学の一方通行 第22話 【解説】 エステル=ローゼンタールが死霊術の際使う擬似魂魄で、 「ナンバーズの悪霊」の一つ。 不慮の事故で死亡した菱形蛭魅 を蘇生するため、 エステルは『檮杌』の魂魄を蛭魅に憑依させたが、 結果として『檮杌』を宿しただけの蛭魅とは違う存在になってしまった。 自身の過ちに気付いたエステルは菱形達へのこれ以上の協力を拒否し、 『檮杌』を回収しようとしたが、 菱形幹比古は「科学的に見て蛭魅に間違いない」と否定。 これが契機となり、エステルと菱形は袂を分かつことになった。 エステル拘束後も菱形に付き添っており、 何故か主人であるエステルの命令に従わない状態になっている。 これは「起動が不完全だったため」とエステルは考えている。 エステル拘束後、無言の状態ながら蛭魅として振る舞いつつ、 菱形に死霊術の知識のサポートを行い、『棺桶』完成に必要な「死体への処置」の方法も助言している。 菱形と蛭魅の目指した「絶対能力者への到達」を目的としているように見えたが、 一方通行と菱形の争いの中、 菱形が致命傷を負い、蛭魅を演じる必要がなくなった事で『檮杌』の意識が覚醒。 「悪魔」を自称する存在から『完全なるゴレム』の完成に協力するという提案を受け、 エステルの命令よりローゼンタール家の悲願を達成する事を優先して行動していた。 蛭魅を演じて菱形に協力していたのもその為であり、 現当主であるエステルにもその達成を祝福し、見守る事を要請したが、 「人の死を弄ぶべきではない」と考えるエステルはこれを拒絶し、『檮杌』への機能停止を命じた。 しかし、『檮杌』はこれを拒否し本性を現した。 その正体は、ローゼンタール家四代目当主・イサク=ローゼンタール。 『饕餮』・『渾沌』・『窮奇』・『檮杌』は元々五代目当主・ネイサン=ローゼンタールが作成したが、 『檮杌』にはイサクの魂魄を転写させていた。 『檮杌』に提案を持ちかけた「悪魔」とはイサクの事であり、 学園都市や菱形の理論を用いて『完全なるゴレム』の完成を目指したのも彼自身の意思。 妹達から採集した「10031の死の記憶」を用いた菱形の「公式」をインストールされたことで、 周囲の建造物、人間を取り込み喰らい巨大化する能力を発揮し、甚大な被害をもたらした。 しかし、『DA』の人間を取り込んだ事で彼らの歪んだ正義執行の意思に浸食され、 イサク自身の意思と混ざり合ってしまう。 その隙を一方通行達に突かれ、エステルが作成した『舜帝の剣』を『檮杌』の符に受けて敗北。 二度目の死の間際、また失敗した事を嘆きながら消滅した。 巨大化した肉体は崩壊し、大爆発を起こしたが、一方通行によって被害は最小限に抑えられた。